ここでダメなら他でもだめだという考え

「ここでダメならどこに行っても使い物にならないぞ」と言って辞めようとする人間を引き止めるという話をよく聞く。しかし少し冷静に考えればこの言葉がおかしいということに気がつく。このセリフを言っている人間もすべて職場や職種を経験したわけではないからそんなことわかるはずはないのだ。

要するに単に辞めてほしくないだけなのだ。自分自身のために。相手のためではなく自分のために。辞められたら人手不足になるかもしれないし補充されたとしてもまた仕事を最初から教えなくてはならない。それが面倒だから単に引き止めているだけなのだ。「辞められると大変だからできたら辞めないでほしい」と素直に言えばいいものを恩着せがましく言っているだけなのだ。

辞められるとキツくなるという経験は僕も何度も経験しているから引きとめたくなる気持ちはよくわかる。だけど辞めようとする人間に嫌がらせまでして引き止めるのがブラック企業の特徴だから冒頭のセリフを言うということはその職場がブラックという証明となるかもしれない。

２度ほど辞めるという人間に対して「どこに行ってもダメだろうな」と思うことがあった。それは単なる感想で口にはださなかった。むしろ「どこに行ってもうまくやっていけるよ」と言って送り出した。僕がどう思ったところで自分に合う場所を見つけてうまくやっていく可能性はある。辞めていく人間に対しては気持ちよく送り出したいものだ。